臨床検査技師の資格を得るには必ず臨床検査技師国家試験に合格しなければならない。また、国家資格を得た後にも、年々進歩する幅広い臨床検査の業務に対応すべく、臨床検査関連の学会認定による各種認定技師制度が発足されている。本学には、幸いにも細胞検査士の認定資格が取得できるシステムができており、これは日本臨床細胞学会による認定資格である。その他にも、超音波検査士、緊急臨床検査士、認定輸血検査技師、認定臨床微生物検査技師、一級および二級臨床検査士など、臨床検査技師を対象とする各種制度が設けられている。
最近、日本認知症予防学会より認知症専門臨床検査技師制度が発足された。この制度は、認知症の早期発見を行うために必要な臨床検査を行う実務者を養成することが目的である。現在、認知症の診断に必要な頸動脈超音波、脳波、血液および髄液検査などを行う臨床検査技師が存在していないため、それに対処するためつくられた。認知症患者は現在300万人存在すると言われ、また患者数は年々増加し、社会的にも問題になっている。
これまで、認知症や神経変性疾患などの疾患は、臨床検査技師にとって疎遠なものであったが、これからは立ち向かわなければならないだろう。認知症専門臨床検査技師のことは、臨床検査技師有資格者あるいは養成学校関係者の間で、どのくらいの方が存じているかは計り知れないが、今後の医療分野において重要な専門資格ではなかろうか。