2012年12月10日月曜日

ときわ人の異文化への挑戦(ガラパゴスからの脱出)

現在の国際化、情報化社会に在って、近年の日本社会の停滞、孤立、混乱が若者の閉塞感と無気力を生んではいないだろうか。20世紀の高度成長と平均寿命の伸びは、戦争直後の荒廃を思うと豊かで安全な国づくりは評価に値すると思う。しかし、低成長時代を迎えて、世界に類例をみない少子高齢化の進展、人口減とりわけ生産人口の中心である若者の減少は直面する課題である。更にこれら課題に対する対策と将来の国づくりへのビジョンの欠落と長きにわたる政治的混乱は現代日本の危機である。 


 一人の女性が生涯で産む子供の数(合計特殊出生率)が長く低迷(平成23年1.39)し、ゆとり教育世代が大学生となっている今日、少子化とゆとり教育で過保護に育ってきた若者のコミュニケーションとプレゼンテーション能力の欠如や自律と自立心の無さなどが目立つ。すなわち、人間力、学び力、社会力の脆弱さに他ならない。

 そのために大学においてはキャリア教育などが行われているが、なかなか目で見える効果的な成果を得るのは難しい。

 本学では国際交流のさまざまなプログラムが用意されている。15年の歴史をもつネパールとの交換研修生制度や学術交流協定、それに近年のコンソーシアムひょうご神戸のアメリカとネパールを対象とした国際交流プログラム、そして学科独自の海外研修もある。また、留学生やJICA研修生などとの交流もある。

 ガラパゴスの平和ボケの島国で過保護に育てられた若者には異文化体験が極めて大きなインパクトを与えるように思われる。例えば、わずか一週間のネパールにおけるホームステイや医療・教育施設での見学で、ホストファミリーとの涙の別れなど、正しくウルルン探訪記である。そしてその研修生仲間が学際を越えて強い絆で結ばれ、ホストファミリーとともに生涯にわたり大きな支えとなっている。

 ガラパゴス社会の中で敷かれたレールの上を仲良く皆で一緒に走る無競争、仲良しの無菌状態の教育が、若者の個性や創造力を養う貴重な時間を奪っているのではないか。

 本学で教え学ぶときわ人は、国際交流プログラムに積極的に参加して、異文化交流により生きる原点と学ぶ原点を知り、ガラパゴスから脱出しょうではありませんか。
                                                                                                              
                                                                                         口腔保健学科 小野一男