2011年4月4日月曜日

ダイビング

3月11日に発生いたしました東日本大震災により、被災されました多数の皆様、及びご家族の皆様に対し、謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復旧・復興を心からお祈り申し上げます。

20年前のクリスマスイブ。私は粉雪舞う和歌山県串本の海で海洋実習を受けていた。ダイビングのライセンスを取得するためである。
何のリサーチもせず、“この時期は講習費が安い”というだけで申し込んだことに、とても後悔していた。
3mmのウェットスーツではすぐに体が冷えてしまい、水中では20分も我慢できない。
一緒に潜っているインストラクターは、余裕のドライスーツ(水がスーツ内に入ってこない冬用のスーツ)である。
あの日以来、私は温かい海以外のダイビングはしていない。
俗に言う「リゾートダイバー」である。
夏は沖縄、それ以外の時期には海外でと決めている。
ここ10年くらいは同じフィールドのダイビングショップを利用しているが、それまでは転々とスポット巡りをした。
日本では和歌山県の串本、沖縄県の本島を始め久米島、宮古島、西表島、渡嘉敷島、座間味島、阿嘉島。海外はお決まりのサイパンそしてグアム、パラオ、モルディブ、フィジー、バリ… 




いろんな海を潜り、辿り着いたところが沖縄県慶良間諸島にある阿嘉島。
今の私にとって第二の故郷とも言える場所である。
やはりここの海は最高だ。海もガイドも実に繊細である。
砂地に這いつくばって体長5cmほどのハゼを撮影していても、上から潜行してくることもなく、砂を巻き散らかして泳ぐこともしない。
凶暴なサメに餌づけして、ゲストに見せることもない。
とにかくダイバーにも環境にも優しい。
ボートのアンカーリングを行う際にも、水中に潜りサンゴのないがれきにアンカーを置いてくるのである。
もちろん魚を集めるためだけの餌づけもしない
。人間としておごること無く、自然の生態系を守りながらゲストを楽しませる、“これこそプロの仕事だ”と、私はいつも密かにほくそ笑む。
この心地よさを求めて、今年もまた神秘な海に漂うのだ。