2011年6月27日月曜日

支援の輪の中で

悪夢のような東日本大震災・大津波から早くも2ヶ月が経過しようとしている。
揺れの強さも、及んだ範囲も、十六年前に私達が経験した震災を大きく上回ったばかりか、これも経験したことのない大津波が破壊した町並みや田畑を容赦なく呑み込み、押し流し、根こそぎの原型をとどめないまでにしてしまった。小さい漁船だけでなく大きい船舶まで海岸線からはるか内陸まで運ばれ、建物の上に乗っかっている光景はただ驚きというほかはない。人心の被害が死者・行方不明を含めて阪神・淡路大震災の4倍を越えるという、まさかこんなことがと思うほどの悲惨さが繰り返し報道され、私たちの気持ちも救いようのない暗さに落とし込んでしまい、自然の力の無常過酷でその強大なことに、諦めに近い気持ちを抱かされたままの日々を送ることが続いている。
これらの惨状は世界各国で報道され、国境を越えて共感を呼び、すかさず色々な形の支援の申し出が続いていることが心強く、私たちの気持ちも幾分慰められ、明るさを取り戻すきっかけになっているのではなかろうか。ことに若い世代の間で人と人とのつながりが希薄になっていることに世間が憂慮している折しも、十六年前のあの災害に、驚くほどの数の若い人達のボランティアが各地から集まって、様々な形の手助けやいたわりを提供したことは今でも忘れられない大きな収穫でもあり、「日本の若者も捨てたものではない」との嬉しい発見があった。また混乱の最中、略奪や暴動が起こる気配もなく、助け合いながら冷静に難関に立ち向かう被災者たちの姿に、十六年前も、またこのたびも海外諸国から賛辞やエールが送られていることに、日本社会の健全さを新ためて見直すことが出来たのも不幸中の幸いであった。
ところで十六年前、私自信が被災者であった折、周囲からしきりにかけられた「頑張って!」という言葉に、妙に虚しさや負担を覚えた記憶がまだ残っている。善意からには違いない支援の言葉も行為も、場合と相手によっては難しい面もあると感じさせられている。
支援参加を志す各人が「何をなすべきか」「何が出来るか」をあれこれ模索する中に、少し風変わりな支援の試みがあることを偶然知った。それは、なすすべもなく打ちひしがれた被災者の人達が、平穏で幸せであった幼い頃を懐かしむ心に訴えて、慰め元気付けようというもので、
大学を出て身の振り方を考えるうち、木のぬくもりに魅せられて大工修行を志した若者がいて、木材に細工して万華鏡を作った。作り方を知る由もないが、その万華鏡はテレイドスコープ(ビー玉万華鏡)と呼ばれ、身の回りの風物を取り込んで、万華模様にして見る仕掛けになっていて、景色や草花、室内の造作、家具などもそれを通して眺めると万華模様にして見せるというものらしい。 何とか支援の輪に加わることができないかと考える傍ら、どんなことが効果的な支援かと受ける立場にも思いを馳せながら、いつの間にか万華鏡のあでやかな世界に迷い込んでいる私である。 他愛もない万華鏡がこんな風に被災者の心の支援にも役立つとは、あなたにとって少々意外かも知れませんが、それはそれとして何か得意とする技能を携えてあなたも支援の輪に加わってみてはいかがですか? 










作品 テレイドスコープ(ビー玉万華鏡)  岐阜県巨大公園にある万華鏡の内部

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