2011年8月22日月曜日

  先日米国在住の友人から、アメリカインディアンのシアトル酋長の言葉が送られて来ました。ご存じだかと思いますが、シアトルは19世紀の中頃、米国のワシントン州に住むインディアン・デュアミッシュ族の酋長でした。白人との土地争いの血なまぐさい抗争を避けるため、彼らの土地を白人に与えることに同意しました。勿論、シアトルと言う名前は現在もワシントン州の州都として残っています。
友人は今頃、何故、シアトル酋長が白人に土地を明け渡すときに白人に対して行ったスピーチを私に送ってきたのでしょうか?
  それは、東日本大震災とそれに引き続いて発生した原発事故を憂いて送ってくれたものなのでしょうか?原文はもちろん英語なので、訳したものを以下に書いてみました。

  「私達が子どもたちに伝えてきたように、あなた達(白人)の子どもたちにも
伝えてほしい。大地は私達の母。大地に降りかかることは、すべてわたしたち大地の子らにも降りかかるのだと。大地を傷つければ、その創造主に対する侮辱を重ねることになる。あらゆるものが繋がっている。
  私達はこのことを知っている。大地は人間が所有するものではない、人間は大地の一部なのだ。あらゆるものは、一つの家族を結びつけている血と同じように、繋がり合っている ―― 私達人間は命という織物を自分で織ったわけではない。私達はそのなかで、ただ一本のより糸であるに過ぎないのだ。
  生まれたばかりの赤ん坊が母親の胸を慕うように、私達はこの大地を慕っている。もし私達(インディアン)がどうしてもここを立ち去らねばならないのだとしたら、私達が大切にしたようにこの土地を大切にしてほしい。
  美しい大地の思い出を、受け取ったときのままの姿で心に刻み付けていてほしい。そしてあなた達の子供のそのまた子供たちのために、この大地を守り続け私達が愛したように愛してほしい。いつまでも」

  19世紀以降、非白人国家の中で、白人の文明と社会を学び取り、近代化に成功した日本は、今その真価が問われようとしています。祖先から大事に継承してきた美しい大地を、子孫に譲り渡すことが出来ぬまで文明と言う名で汚してしまいました。
  今こそ、自然と対決するという思い上がった西欧的文明を改め、人類は自然の中で生かされているのだというインディアンと同じ思想である「人間は自然によって生かされている」という日本古来の大自然の前には、恐れひれ伏すという謙虚な気持ちに戻る時が来たのではないでしょうか?