2011年9月19日月曜日

臨地実習の醍醐味

 今週から、保健科学部看護学科2期生(3年生)の本格的な臨地実習が始まりました。

 これは看護学を学ぶ上での最大の山場である看護を実践する実習です。学生の皆さんは、この実習を経て知識も技術も、また看護する人としても大きく成長することとなります。

 私は現在、病気の診断や治療過程にある対象を理解して看護を学ぶ実習(療養支援実習Ⅱ)で学生と一緒にベッドサイドに立っています。この実習指導はとても奥が深く、一緒に取り組めば取り組むほど私自身の人の捉えや、看護の偏りが明らかとなって、私も看護者として成長している過程が実感できます。

 臨地実習は大学内の授業や演習と違って、シナリオ通りに進むことはありません。学生は、指導を受けて看護援助の方法を詳細に計画し、準備を整え患者さんの前に立つわけですが、患者さんの想いや状況とかみ合わなければ勿論無理やり進めることはできません。まず多くの場合、学生はどのようにすれば患者さんに受け入れられるか、自分の計画を実行できる方法を考えます。その提案が断られると「どうしたらいいのか・・・」と途方に暮れます。ここでしっかり悩めると「患者さんはどう想っているのか?」と相手の立場に身を置いて考えることにつながります。自分なりに考えた患者さんの想いをご本人に伝えるとあら不思議、「せっかくだからやってもらおうか」となることも少なくありません。筋書きのないストーリーの部分が多く、臨場感あふれるダイナミックな学びです。

 看護援助の計画や準備段階に指導している私は、学生さんが壁にぶつかることも前提に含め、どうやったら学びにつながる関わりの場をつくれるか、長期的に、短期的に、そして瞬時に判断していきます。そんな中、常に危機感を感じているのは、学生さんが本来持っている能力や素質を活かせないことで、言い換えれば『芽を摘む』ということです。最近は、趣味のバラ栽培でも「この新芽摘んでも大丈夫?」と躊躇してしまう状況です。話は逸れますが、バラ栽培は教育と重なる部分が多く、1~2月までの寒い時期にどれだけ肥料が効果的に与えられたかで、その年の開花状況と成長が決まります。まるで臨地実習前の大学での教養・基礎科目の修得と同じように。





 学生の皆さんは真摯に看護の対象となる人に向かい学んでいます。その横にいる教員の私、こんな気持ちで取り組んでいます。


                                保健科学部看護学科
                                   岩切由紀