2012年10月29日月曜日

臨床化学検査の特徴

 臨床検査の対象となる体液成分(検査項目)を化学的、免疫学的に測定できるのは350種類ほどありますが、その中でもさらに主要体液成分は約160種類であります。それら成分の分布を全身上位から順番に示すと頭部の松果体、視床下部、脳下垂体(前葉、後葉)、甲状腺、副甲状腺、肝臓、肺、乳腺、心臓(循環器)、胃・十二指腸、脾臓、膵臓、胆のう、胆道、副腎皮質、副腎髄質、腎、卵巣・子宮、精のう、精巣、前立腺、そして筋肉、骨などです。
 そして、これらの全身分布のうち検査項目の多い順番を示すと肝機能検査(35)、腎機能検査(15)、循環器機能検査(15)、膵臓機能検査(13)、副腎髄質(10)・副腎皮質(8)機能検査などです。(  )内は検査項目数を示しています。
 では、これらの体液成分の血中濃度についてのべますと、表1に示しますように総蛋白質の濃度は  g/dLであり、血糖や尿素質素はg/dL の1000分の1のmg/dLの濃度で存在しています。以下、代表的な各濃度の体液成は血清鉄、血漿アンモニアの化学的成分と甲状腺ホルモン(サイロキシン)、人成長ホルモン、副腎皮質刺ホルモンなどに示すように1000分の1ずつ低くなります。ただし、平均赤血球容積(MCV)はfl(フェムトリットル)です。参考に表2に1000分の1ずつ低下する内容について示しました。
 これらの濃度に対する測定はg/dLからμ/dLは化学的に直接吸光分析法で測定しますが、n/dL以下に対しては免疫学的測定法が利用されています。
 体液成分を化学的に測定する(臨床化学分析という)試料は血清、血清や尿が多く、これらの試料中には、最初に述べましたように350種類ほど含まれていますから、試料の特徴は多くの成分が含まれて多成分含有試料であり、しかも存在様式も非常に複雑(例えば、コレステロールはHDLコレステロール、LDLコレステロール、エステル型コレステロール、遊離型コレステロールなど)であります。このような試料中の目的成分だけを特異的、迅速、精密、正確に測定していますのが臨床化学検査の特徴です。今回は臨床検査につきまして臨床化学検査を中心に紹介しました。